2013年5月3日金曜日

まぐろの『熟成』の科学的な話

マグロ屋の中では『ふかす』って言葉があります。

要は『寝かせる』事を言います。



『寝かせる』ってのも専門用語っぽい(笑)。

簡単に言うと『すぐに食べずに冷蔵庫などで時間をおく』って事ですね。



いわゆる『熟成』ってやつです。



マグロを含めて魚(食肉も同じだと思う)はATP(アデノシン三リン酸)があり、これは動く為のエネルギーを保持するための物質で、魚などが死ぬと酸素がいかなくなるので、徐々に酵素の働きなどでATPが減少し、無くなると死後硬直が起きると言われています。

その酵素の働きでATPが変化し最終的にはイノシン酸に変わり、そのイノシン酸はいわゆるアミノ酸と同じ『旨み』成分となります。

マグロなどはゆっくりとこの働きが起きるので、実際、〆められてから数日~数週間は熟成期間とも言われています。

もちろん鉄分が多く含まれるマグロに空気をあて酸化させ赤い色を強める意味もあります。



またATPは魚の締め方も左右します。死ぬ直前に悪い言い方でもがき苦しんだら、運動エネルギーを全て使ってしまい旨み成分となる元を使った状態で死んでしまうので死後硬直までも時間が早く、そのあとの鮮度劣化も早く、熟成しても旨みがありません。



なので活〆めのおさかなは価値が高く、旨いのです。



マグロで考えると、『釣り』や『はえ縄』で揚げ、活〆めされたマグロと、巻き網でもがき苦しんだマグロは科学的にも違うマグロといえるでしょう。

マグロ以外の魚でも同じです。だからどうやってとれて、どうやって〆られたかを知ることは魚をおいしく食べるコツでもあります。



冷凍マグロは船上で〆られたマグロを-60度で急速凍結をします。

死後硬直が始まる前に凍結されているマグロは、実際に解凍するときに死後硬直が起き、身が締まってきます。

これをマグロ屋はチヂミと呼びます。

チヂミに関してはこちらで、、


鮮度が良い証拠であり、しっかりと解凍しドリップとしてイノシン酸を出さないようにすれば冷凍でも旨いマグロになるんです。

ここらの話はまた今度。。


写真は以前、森さんと言う写真家に撮ってもらった三崎のマグロの水揚げ写真です。
お気に入り!!

水揚げ三崎1

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